「ヴォーヌには平凡なワインなどありはしない」という18世紀の修道院長であり歴史家のクルペテーが残した言葉が表しているように、ロマネ・コンティと筆頭としたラ・ロマネやラ・ターシュ、ロマネ・サン・ヴィヴァンなどワイン好きの中では知らない者がいないと言われるほど高名なグラン・クリュを多数排出しているヴォーヌ・ロマネ。21世紀になってもその名声は今だ不動の地位にあります。

これらの評価はヴォーヌ・ロマネ全体としては過去のものとなりつつありますが、誰もが聞いたことのあるワインを一度でいいから吞んでみたいという気持ちは変わらないのではないでしょうか。

村名ワインは置いておき、プルミエ・クリュやグラン・クリュ・クラスになると、いずれも最上級の赤ワインを産出しています。

 

ブドウ畑は隣接するフラジュ・エシェゾー村とまたがっており、比較的標高は低めの土地で栽培されています。

ウミユリを含んだバジョシアンの岩層の上には、数十cm~1mに達するほどの粘土質泥灰岩が混じった褐色の石灰粘土質土壌が覆っています。

村名AOCヴォーヌ・ロマネからプルミエ・クリュ、グラン・クリュともに赤ワインのみの格付け。

グラン・クリュの条件を満たせなかった場合はAOCヴォーヌ・ロマネ、またはAOCヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュと表示されます。

 

フラジェ・エシェゾー

ヴォーヌ・ロマネとヴージョに隣接したフラジェ・エシェゾー村にはエシェゾーとグラン・エシェゾーという二つのグラン・クリュがあります。

グラン・エシェゾーを取り囲むような形でグラン・クリュのエシェゾーの畑は広がっており、この二つのグラン・クリュはクロ・ド・ヴージョと同様に12~13世紀にシトー派修道院によって開墾され、石垣で隔てられています。

グラン・クリュの基準を満たすことができなかったワインはヴォーヌ・ロマネ、ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュと記載され、グラン・クリュの畑を持つにもかかわらずエシェゾーという村名AOCは存在しておりません。もちろんブドウの品種も同じくピノ・ノワールになります。

村名格のヴォーヌ・ロマネの畑のうちフラジュ・エシェゾー村に属しているものは13%ほどです。

 

ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュ(特級畑)

・リシュブール

2012 リシュブール 750ml 【グロ・フレール・エ・スール】 ブルゴーニュ赤ワイン

リシュブールという名前はリシュ=濃厚、ブール=豪村が語源の一つとなったとも言われており、もともとサン・ヴィヴァン修道院が所有していました。

そこから一部を譲渡されたディジョンのオラトリオ会やシトー会の修道院によってリシュブールの名声は高められていきます。フランス革命の後、国有地として売却されたとき、当時最上のワインを産出すると言われていたラ・ターシュと同等の価値があると専門家によって評価されたほどです。

リシュブールが持つ12の小区画はこのときに分割され、地元の農家に売却されました。さらに1924年、ディジョン裁判所の決定により一つの区画が追加されます。これがレ・ヴェロワイユと呼ばれている区画になります。

リシュブールの最大生産者はドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)

ラ・ターシュやラ・グランド・リュと同じ土壌と言われているリシュブールの畑は、バジョシアン後期の母岩の上に小石や粘土が混じり土壌の深さは30cmほどになります。畑の向きは東向きの斜面の中腹。

また、東北東よりに面しているレ・ヴェロワイユの方はリシュブールの区画とは少し異なり、渓谷からの風をうけやすく、ブドウの成熟がやや遅くなるという傾向があるようです。

☑8.03ha

 

・ロマネ・サン・ヴィヴァン

ロマネ サン ヴィヴァン グラン クリュ ジャン ジャック コンフュロン 2013 赤 750ml

修道士のワインと称されることのあるロマネ・サン・ヴィヴァンは、実直であり力強い印象を持つワインです。

その名前の由来の通り、サン・ヴィヴァン修道院によってその名声は高められ発展していきました。そしてフランス革命により没収されて売却されたロマネ・サン・ヴィヴァンの畑は、マレイ・モンジュ家によって単独所有され、これはおよそ100年ほど続きます。

その後、分割されていった畑は現在ではいくつかの生産者によって所有されています。最大規模の所有者はドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)になります。

ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュの中でももっとも熟成がはやいと言われているロマネ・サン・ヴィヴァンの畑は、標高250~270m、東向きのゆるやかな斜面で、ロマネ・コンティとリシュブールの下側に位置しています。

土壌はロマネ・コンティに近いと言われていますが、ロマネ・コンティよりも深い土壌で平均90cmの深さになります。50%の粘土が含まれた茶色い泥灰石灰質土壌に活性石灰が豊富に含まれており、畑の西側はバジョシアン後期の母岩。それ以外の場所はバジョシアン末期の母岩です。

☑8.98ha

 

・ラ・ロマネ

La Romanee Bouchard Pere&Fils 1983 ラ・ロマネ ブシャール

フランスで最小のAOCであるラ・ロマネのブドウ畑は、ドメーヌ・リジェ・ベレールのモノポールになります。

ラ・ロマネは、もともとロマネ・コンティと同一の畑であったとも言われており、ロマネと呼ばれる畑が8区画に分割され売りに出された時に、その最大区画を購入したのがコンティ公と言われています。その区画が現在のロマネ・コンティという名前になり、残りの7区画をまとめ上げたものがラ・ロマネと呼ばれる現在のブドウ畑ということです。

畑はロマネ・コンティのすぐ真上、12%という勾配をもつ傾斜のきつい急斜面にあり、最大標高280m。ロマネ・コンティと比べると粘土質が少ない(35~40%)土壌になります。

ラ・ロマネの母岩はバジョシアンとバトニアンの石灰岩にオストレア・アクミナタの泥灰土からできており、ロマネ・コンティとは小さな断層線によって分けられています。基本的な土壌の構成も同じで茶色い石灰質土壌です。

☑0.8452ha

☑モノポール:ドメーヌ・リジェ・ベレール

 

・ロマネ・コンティ

ロマネ・コンティ 1990 Romanée-conti

ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュの中でもすべての長所を持つを言われるロマネ・コンティ。

ロマネ・コンティの畑は、東にロマネ・サン・ヴィヴァンとリシュブール。西にラ・ロマネ。南にラ・ターシュとラ・グランド・リュという世界でも有数の銘醸畑に囲まれており、その起源はローマ時代にまで遡ります。

ロマネ(ローマ人)とポンパドゥール夫人と畑の所有について争い合ったコンティ公爵からとられたコンティを合わせたことからロマネ・コンティという名前になりました。

コンティ公が所有していた時代、ロマネ・コンティの畑から造りだされたワインはすべて私有のワインとして保管されており、一度も売りに出されたことはありません。

フランス革命後、国有地として売却されたこの畑は、当時の鑑定人をうならせるほどの素晴らしい評価をされています。

ロマネ・コンティの畑は、標高260mの東向きのなだらかな斜面に位置しており、60cmの厚さを持つ炭酸塩、鉄分を含んだ粘土質の強い茶色い石灰土壌。

有名なオストレア・アクミナタの泥灰岩が母岩となっており、これが細かい小石で覆われ、ほとんど浸食されることがないと言われます。

☑1.8050ha

☑モノポール:ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)

 

・ラ・グランド・リュ

■フランソワ・ラマルシュ ラ グランド リュ グラン クリュ (モノポール)[2012](750ml)赤 Francois LAMARCHE La Grande Rue Grand Cru (Monopole)[2012]

ラ・グランド・リュがグラン・クリュに認定されたのは1992年とかなり遅く、前年である1991年のヴィンテージからグラン・クリュと名乗ることになりました。ブルゴーニュではクロ・デ・ランブレに次いで二番目の昇格です。

原産地呼称統制法が制定された1930年代、ラ・グランド・リュを所有していたアンリ・ラマルシュはグラン・クリュ申請の手続きを行いませんでした。その後1984年、INAOによるアペラシオンの格付け見直しを機にグラン・クリュへの申請を行っています。

ラ・グランド・リュのブドウ畑は、標高260~300m、ラ・ターシュとラ・ロマネ、ロマネ・コンティ、ロマネ・サン・ヴィヴァンにはさまれた東西に長く伸びた形をしています。

母岩は隣り合うグラン・クリュと変わりませんが、高低差と斜面に沿った畑の影響で土壌が変化しています。上側ではやや厚めの茶色い石灰質土壌。下側ではレンジナ土壌をしています。

☑1.65ha

☑モノポール:ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュ

 

・ラ・ターシュ

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ / ラ・ターシュ [1995]

ラ・ターシュはフランス革命で没収されるまでサン・ドニ教会が所有していました。

ブルゴーニュの最高のワインと呼ばれたロマネ・コンティがコンティ公によって独占されたことで市場に出回らなくなり、ロマネ・コンティに代わってラ・ターシュが取り引きされるようになります。手に入れることのできるブルゴーニュ最高のワインとしてラ・ターシュの評価は跳ね上がり、価格もそれにまして高騰していきました。

ラ・ターシュは1930年代までロマネ・コンティの畑よりも狭い区画だったのですが、この畑を所有していたドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの要請によって隣接するレ・ゴーディショの大部分もラ・ターシュとして統合されています。この時、統合されなかった残りの畑については、プルミエ・クリュのレ・ゴーディショとして格付けされています。

ラ・ターシュの畑はラ・グランド・リュと同じ小石が多い土壌と言われており、標高は250m~300m、上部はやや厚めの茶色い石灰質土壌、下部もラ・グランド・リュと同じくレンジナ土壌。

ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュの中でも、もっとも安定した品質を保つと言われているのがラ・ターシュです。

☑6.062ha

☑モノポール:ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)

 

・グラン・エシェゾー

【12本セット】ドメーヌ・ロベール・シリュグ(シルグ/シュルグ)   グラン・エシェゾー・グラン・クリュ[2012][正規品] 赤ワイン/辛口[750ml]

グラン・エシェゾーの畑は1098年以来、シトー会の修道士たちによって所有されていた畑になります。クロ・デ・ヴージョとは異なるのが、少しずつ民間人に譲られていったことです。1789年のフランス革命により、貴族や修道院が所有する畑は国有地として没収されてしまいますが、グラン・エシェゾーの区画は民間人が所有していたことで守られました。

グラン・エシェゾーの畑はクロ・デ・ヴージョの上部に近く、もともと大きな(グラン)エシェゾーという意味でしたが、AOC制定の際にエシェゾーに他の区画が組み込まれてしまったため、エシェゾーより小さくなっています。

標高250mの3~4%という緩やかな勾配を持つ東向きの斜面。茶色い石灰質土壌には良質の粘土が含まれており、母岩はバジョシアンの石灰岩になります。

グラン・エシェゾーの畑には22ものクリマが存在し、最大所有者はドメーヌ・ド・ロマネ・コンティ(DRC)です。

☑8.04ha

 

・エシェゾー

モンジャール・ミュニュレ エシェゾー・グラン・クリュ[2014] [正規品] 赤ワイン/辛口 [750ml]

グラン・クリュであるエシェゾーの畑はグラン・ゼシェゾーを取り囲むように存在しており、グラン・ゼシェゾーの西と南に位置する少し低めの斜面になっています。

グラン・クリュの中でもクロ・デ・ヴージョに次いで大きいエシェゾーの畑は11の区画によって構成されています。これはAOC制定の際にまとめられたものですが、かつてシトー会修道院により所有されていた区画とそれに隣接する8つの区画が統合されて出来上がったものになります。

このエシェゾーの畑は84人もの生産者によって所有されており、標高230m~300mとグラン・ゼシェゾーと比べると高低差もキツく、バジョシアンの泥灰岩や小石が多い土壌など複雑に入り乱れており、畑の位置や生産者によっても品質に差がでやすいという問題も兼ねそなえています。

☑36.34ha

 

ヴォーヌ・ロマネのプルミエ・クリュ(一級畑)

・レ・ゴーディショ

☑1.0283ha

・オー・マルコンソール

☑5.858ha

・レ・ボーモン

☑11.3871ha

(レ・ボーモン2.3504haレ・オー・ボー・モン2.0262haレ・ボー・モン・バ5.4301haレ・ボー・モン・オー1.5804haの4区画)

・レ・スショ

☑13.076ha

・クロ・デ・レア

☑2.125ha

☑モノポール:ドメーヌ・ミッシェル・グロ

・レ・ショーム

☑6.4555ha

・オー・ブリュレ

☑4.5329ha

(オー・ブリュレ3.7639haとラ・コンブ・ブリュレ0.769haの2区画)

・ラ・クロワ・ラモー

☑0.5987ha

・クロ・パラントゥ

☑1.0127ha

・アン・オルヴォー

☑1.786ha

・レ・プティ・モン

☑3.668ha

・オー・レニョ

☑1.618ha

・レ・ルージュ・デュ・ドスュ

☑2.620ha

 

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