テキーラとはメキシコを代表する蒸留酒の一つです。

メキシコと言えばテキーラというイメージが先行してしまいますが、他にもメスカルやアグアルディエンテのような蒸留酒。コロナビールやプルケといった醸造酒が生産されています。

日本でも焼酎や泡盛、ウイスキーのような蒸留酒や日本酒、ビールにワインといった醸造酒を多岐にわたって生産しているのと同じように、メキシコでも様々な種類のお酒を生産しているわけですね。中でも日本酒と言えば日本を代表するお酒です。メキシコにおけるテキーラもちょうど日本酒と同じようにメキシコを代表するお酒という位置にあたります。

 

さて、このテキーラですが、バーや酒屋さんに行けば必ず置いてあるお酒の一つです。

しかし、その日本で飲まれている頻度や知名度の割には、テキーラというお酒について詳しく知っている人というのはどれくらいいるのでしょうか?

原材料はサボテンから出来ている。

ウォッカよりアルコール度数の高い危険なお酒だ。

テキーラを飲む際にはかならず一気飲みしなくてはならない……などなど。

このようにテキーラは日本でもっとも誤解の多いアルコール飲料の一つだと言えます。

 

 

テキーラの原料はサボテン?

先ほども例として挙げましたが、もっともよくある誤解の一つにテキーラはサボテンから造られているという話があります。

不思議なことに普段からバーでテキーラを嗜んでいる人の中にも、このような誤解を信じて見える方がいます。

どうしてこのような誤解が広がっているのかはっきりとはわかりませんが、メキシコと言えばソンブレロというメキシカンハットをかぶったマリアッチ(メキシコの伝統的な演奏者)がサボテンの生えた荒野で演奏しているといったステレオタイプなイメージが思い浮かんでしまうことが原因の一つかもしれません。

テキーラの原材料はアガベ・アスールと呼ばれる植物からできており、英語ではブルー・アガベ。日本語ではリュウゼツランと言われています。

アガベの種類は150種類以上も確認されており、テキーラに使用されるアガベ・アスールはそのうちの1品種になります。このアガベはテキーラの原材料として使われているだけではなく、紙や繊維、テキーラ以外のメキシコの蒸留酒であるメスカルにも使用されています。メスカルに使われているアガベはエスパディン・アガベと呼ばれるものが多く、これはアガベ・アスールとは別の品種になります。

テキーラとメスカル。そのどちらもメキシコで生産されるアガベから造られている蒸留酒です。メキシコの大きなカテゴリーで言うとテキーラはメスカルの内の一つにあたります。テキーラが何故メスカルではなく、テキーラと呼ばれる理由をこれから見ていきましょう。

 

 

テキーラとは?

テキーラには、ワインやシャンパンの世界でおなじみの原産地呼称という厳格に管理された制度があります。

この厳しい審査をクリアしたものだけがテキーラと名乗ることができます。例えメキシコ国内でテキーラとまったく同じ原材料と製法で蒸留酒を造ったとしても、それはテキーラと呼ぶことはできずメスカルと呼ばれます。

これは半民半官の組織であるテキーラ規制委員会によって管理されており、このテキーラ規制委員会を略してCRT呼ばれています。

原産地呼称というからにはもちろん、メキシコでもアガベの栽培される土地や蒸留所の場所などの規定。さらには上記でも説明しましたが、原材料に使われるアガベ・アスールについてやテキーラの製造方法など細かいルールがあります。

 

テキーラを生産できる5つの州

メキシコで生産されるテキーラは、単純に手に入ったアガベ・アスールを使用すればよいというものではありません。

まずはその栽培地域と蒸留場所についてです。

テキーラの語源ともなったテキーラ村のあるハリスコ州全域を中心にナヤリ州グアナファト州タマウリパス州ミチョアカン州の特定地域という5つの州で栽培されるアガベ・アスールを使用しなくてはテキーラと呼ぶことはできません。

さらにこの5つの州とその周辺地域で蒸留されるという条件も追加されます。この5つの州で生産されたアガベ・アスールを使用して蒸留したとしてもテキーラと名乗ることはできなくなります。

このテキーラ生産に欠かせない重要な5つの州のことをまとめてテキーラ5州と言います。

 

テキーラ製造のための条件

テキーラを造るための栽培場所や蒸留できる地域についてみてきました。続いては製造工程についてです。

まずテキーラと呼ばれる蒸留酒を製造するためにはテキーラ5州でアガベ・アスールを使用するということが絶対条件です。

しかし、これはアガベ・アスールを100%使用しなくてはいけないということではなく、テキーラ全体の内51%以上がアガベ・アスールで構成されていれば問題ありません。ちょうどアメリカにおけるライ・ウイスキーの「原材料の内ライ麦を51%以上使用しなくてはならない」という規定と同じようにとらえてもらえば問題ありません。

テキーラの場合、このアガベ・アスールと一緒に混醸されるのは主にブドウ糖やサトウキビから得られた糖分などが当てはまります。

ちなみに100%アガベ・アスールを使用したテキーラについては「100%アガベ」と記載することができるさらに厳格な規定もあります。100%アガベ・テキーラについては後ほど解説しますが、日本で人気の上がっているプレミアム・テキーラのそのほとんどは100%アガベ・テキーラに該当しています。

 

さて、原材料以外にテキーラと呼ばれるために規定されているものでは蒸留回数というものがあります。

詳しい製造工程については別の記事にて詳細を解説していますが、簡単に言うと2回以上蒸留しなくてはいけないということになります。

アガベ・アスールを51%使用して最低2回は蒸留を行うこと。

少なくとも2回以上蒸留すればよいので、3回や4回蒸留したとしても問題はありません。現に3回蒸留を行っているテキーラとしてカサ・ノブレやポルフェディオなど有名な銘柄も存在しています。

蒸留した後はウイスキーやブランデーのようにテキーラも樽で熟成されたりしますが、テキーラと名乗るために熟成についての規定はなく、分類としてブランコ、レポサド、アネホなどで区別されています。

そして製品化された時のアルコール度数。

テキーラはアルコール度数が非常に高い酒だと認識されがちですが、実際のアルコール度数は35%から55%の間になります。もちろんこのこともテキーラと名乗るための規定に含まれています。

製品化されているテキーラは40%程度のアルコール度数のものが一番多く、最近では若干度数の下がったものが製品化される傾向にあります。ウイスキーのアルコール度数が40%ということを考えると、テキーラを特別視してアルコール度数の高いお酒だ!ということはできません。ウォッカでは96%という世界最高度数のスピリタスが存在していますし、ラム酒でも75.5%などの高いアルコール度数を誇るもの多くがあります。

このアルコール度数や蒸留回数以外にも人体に有害なメタノールの含有量に関する規定や使用することのできる添加物についても厳しく定められています。

これらの条件をすべて満たしたものが、テキーラとしてメキシコ公式規定(NOM)という通称NOMナンバーがラベルに記載されることになります。

 

 

テキーラの種類

ここまででテキーラというお酒についておおまかにですが、理解していただけたと思います。

テキーラ規制委員会の定める規定をクリアすることによって、初めてテキーラと名乗ることができるわけですね。

それでは最後に、テキーラやメスカルといったメキシコの蒸留酒について大きな分類はありましたが、テキーラの種類についての分類を簡単に見て行こうと思います。

 

100%アガベ・テキーラ

キリン ドン・フリオ アネホ 箱入り 750ml

テキーラ製造のための条件という項目でも少し触れましたが、アガベ・アスールを100%使用した100%アガベ・テキーラというものがあります。

近年のプレミアム・テキーラ・ブームに乗ってアメリカのセレブたちを中心にその勢力図を拡げる100%アガベ・テキーラですが、正確に言えばプレミアム・テキーラ=100%アガベ・テキーラというわけではありません。しかし、そのプレミアム・テキーラと呼ばれているほとんどが100%アガベを使用したテキーラなので、プレミアム・テキーラ≒100%アガベ・テキーラと覚えておきましょう。

 

100%アガベ・テキーラというものは文字通り、アガベ・アスール以外のものを使用していないテキーラのことになります。これはテキーラ規制委員会によって管理されているテキーラの上級項目にあたります。

さらに生産されたテキーラは現地での瓶詰めも行わなくてはなりません。100%アガベ・テキーラと名乗らないものは輸出先などで瓶詰めされることもありますが、これもCRTによってきちんと管理されています。

このような条件を満たしたテキーラはラベルに100%アガベと表記され、他のテキーラとは区別されています。日本酒で言うところの純米酒のようなニュアンスでしょうか。

 

ミクスト・テキーラ

クエルボ・エスペシャル 750ml

100%アガベ・テキーラと表記されていないもの。つまり51%以上100%未満のアガベ・アスールで造られたテキーラはミクスト・テキーラと呼ばれます。

 

公式にはテキーラと100%アガベのテキーラの二種類で区別されており、単にテキーラと言われる場合のほとんどはこのミクスト・テキーラを示しています。ほとんどというのは、100%アガベ・テキーラでありながらもアガベ100%と表記するための他の基準を満たしていないものもあり、これらも単にテキーラと呼ばれているからです。

ミクスト・テキーラもテキーラと名乗っている以上、CRTによるテキーラの規定はもちろんクリアしています。

 

フレーバード・テキーラ

タランチュラ アズール

こちらは正確にはテキーラと呼ぶことはできず、日本の税法上はリキュールとして分類されているものです。

フレーバード・テキーラはテキーラをベースとしてフルーツや糖分などが配合されたお酒のことで、非常に飲み易く女性に人気の高いテキーラとして認知されています。

テキーラとして分類するわけにはいきませんが、日本で判断されているおおまかなテキーラの種類として覚えておいたほうがよいジャンルだと思います。

 

 

まとめ

簡単でしたが、テキーラというお酒について少しは理解していただけたでしょうか?

まだまだ原材料や一気飲みをしなくてはならないなどのテキーラについての誤解は蔓延しています。こうして少しずつテキーラを知る方が増えていくことでいずれそのような誤解も打ち消すことができる日が訪れることかと思います。

正しい知識を持って愉しくテキーラを味わいましょう。

テキーラについて | 流しのバーテンダー

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