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バーで働いているとよく質問されることの一つに「家でカクテル作ってみたいんだけど、どこで道具を買ったらいい?」と尋ねられることがあります。

この質問が意外と頭を悩ませます。

私が住んでいる地域は都会と言えるわけではない地方都市なので、東急ハンズやらロフトのようなバリエーション豊かに調理道具を扱うお店が近くにありません。かと言って、近隣の厨房用品を扱うお店にもめぼしいバーツールは陳列されていたり、専門の道具を取り寄せるといったことができなかったりします。

私自身が扱っているカクテルの道具もインターネットで取り寄せたり、所用で東京や大阪に出向いたときに購入しているものがほとんどです。

せっかくカクテルに挑戦してみたいという方にインテリアのようなバーツールを紹介しては申し訳がありませんので、最近ではインターネットで取り寄せることをオススメしています。

そういうわけで、今回はバーで一般的に扱うカクテルの道具、バーツールについて解説を入れながらご紹介していこうと思います。

 

 

カクテルを造るにはどんな道具が必要なのか?

初心者がカクテルに挑戦される時に必要な三つの技法があります。それぞれビルドステアシェイクと言い、これらを身につけるだけで大概のカクテルは安心して作成できます。

そして材料を計測するために使用されるのがメジャーカップ。時にはジガーカップと呼ばれることもあります。

【ユキワ】U型メジャーカップB

こちらはカクテルを作るときにグラスやシェーカーに、アルコールやジュースを計測して注ぎ込むための道具になります。

サイズの違う二つの小さなカップがくっついた形となっており、それぞれ満タンで1oz(30ml)・1.5oz(45ml)です。正確には「シングル=1oz(オンス)=29.56ml」ですが、細かい数字は切り上げて、一般には30mlとして表記されています。

シングルとダブル(2oz)の二つがくっついたメジャーカップもありますが、日本のバーではあまり使用されていません。家庭でウイスキーを注ぐときなどには重宝します。

メーカーや種類によってメジャーカップの中に入る分量に誤差がありますので、慣れてきたら他のブランドのものを使用するとより正確に測れるようになるでしょう。

 

そしてショートカクテルなど細かく計測する必要がある場合があります。

ショートカクテル場合、大体60mlの材料に氷を入れて調合するので、30ml:30mlの二種類の材料だとメジャーカップの小さい側で入れれば済むのですが、30ml:15ml:15mlや30ml:20ml:10mlなど複雑に分量が分かれていることがあります。

その時は小さい30ml側で20ml、10mlを計測し、大きい45ml側では15ml、30mlというちょうど1/3ずつに分けて計測すると間違いが少なくてすみます。

プロの場合、一度中身が入ったメジャーカップだと内部に残った雫でカウンターを汚してしまう危険性がありますので、すべての分量を片側だけで計測します。

 

注ぎ方

1.左手の人差し指と中指でメジャーカップを挟み込み、左の肘を身体と垂直方向に曲げながら材料をメジャーカップに入れます。

2.そこからグラスやシェーカーに向かって注ぎ込むのですが、このとき肘を折りたたむようにして身体に平行に近づけると自然に手首が返り、グラスに半円を描くような動作で注ぎ込むことができます。手首は固定したほうが安定するので意識を集中させてください。

 

この動作を繰り返すことによって材料を注いでいきます。最後の材料を入れた後には左手でメジャーカップを逆手に持ったまま上に上げていくように雫を垂らすと美しく見えますので大事なポイントです。

 

実際の現場では5ml、12.5ml、25mlなどさらに細かい計測も必要になってきますが、練習すれば誰にでも行えるようになります。

計測に自信がないといった時には内部にメモリのついたメジャーカップもありますので、始めはそちらを使用すればある程度感覚が掴めてくることでしょう。

【Mr.スリム】メジャーカップ シックス

こちらはスタイリッシュで高級感もあり、全高が高いのできれいに注ぐことができます。30ml側ですと10mlと20mlのメモリのが刻まれており、45ml側には15mlと30mlのメモリがついています。初心者でも正確に測ることができるので安心です。

プロになるとメモリのついていないものを使えるようになりますが、こちらを使用しているバーテンダーもたくさんいますので格好が悪いと思わずに安心して使用してください。

 

 

ビルド(Build)

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タンブラーなどの縦長のグラスに氷やアルコール、ジュースなどを注ぎ込み、バースプーンやマドラーによって混ぜることを言います。

スクリュードライバーやカルーアミルク、カシスオレンジなどがこのビルドを使用した代表的なカクテルになります。

【ユキワ】ツイストバースプーン 31.5cm

バースプーンはカクテルを調合する際にもっとも使用頻度が高い道具です。

普通のスプーンと違うところは、柄の中央部分が螺旋状になっており、そこを指で挟み込むことで撹拌する動作をスムーズに補助してくれます。

また、スプーンの部分は1tspを軽量することもでき、非常に重宝します。反対側のフォーク状の部分では、カットしたライムやレモンなどを刺して搾ったり、副材料のチェリーやオリーブなどを瓶から取り出す時などにも使用されます。

全体的なサイズは30cm~33cmが一般的ですが、長いものや短いものもあり使い勝手も異なります。始めは一般的なサイズから練習するとよいでしょう。

 

バースプーンの持ち方は中指と薬指の間に挟んで指が下を向いたような状態です。ここからグラスの側面にスプーンの背をつけながら回してかき混ぜていくのが基本の動作になります。

ハイボールやジントニックのような比較的比重の軽く炭酸が含まれているものを混ぜる場合は、グラスの底までスプーンを入れ、氷を持ち上げるような感覚で1、2回混ぜてしまいます。二度、三度とグラスにバースプーンを入れてしまうとせっかくの炭酸が抜けてしまうので注意してください。

また比重の重い、カルーアやカシスのようなリキュールの場合、上下にバースプーンを持ち上げるようにして回すとキレイに混ぜることができます。

左利き用バースプーン

私は左利きではないので使用することはありませんが、左利きの方専用のバースプーンも販売されています。

使い方は右利きの場合と逆の動作になるだけですので、無理をして右利きようのバースプーンを使わずともこちらを使用して問題ありません。

 

 

ステア

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カクテルの王様とも呼ばれるマティーニやマンハッタンに使われる技法になります。

ミキシンググラスという大きなビーカー状のグラスを使用します。

ミキシンググラス

ミキシンググラスはサイズが小さいものが多く出回っていますので寸法に注意してください。氷があまり入りませんし、なによりもステアの練習になりません。サイズはだいたい、高さ140mm口径90mm容量500mlくらいが目安です。

それと軽すぎるものも安定性が悪く使いにくいので気を付けてください。

ガラスの切込み部分は矢来といい、矢が降ってくるようなイメージをモチーフにしてデザインされています。よくバーで見かけるタイプはこのデザインのものが一般的です。

これ以外にもフラットなデザインのミキシンググラスや、脚(ステム)のついたもの、金属でできたものもあります。

 

このミキシンググラスを使用する際に氷がグラスの中に入らないように抑え込む道具をストレーナーといいます。

バロン ミキシングストレーナー

バネの部分で氷をやさしく抑え込み、カクテルをグラスに注ぎ込みます。他にも後述しますが、ボストン シェーカーなどでも使用します。

バロンストレーナーは水切りの部分が十字になったタイプで直径は80mm、様々なタイプのミキシンググラスに使用できます。

 

 

ステアの仕方

1.ミキシンググラスに氷を詰め、ミネラルウォーターを注ぎます。

※氷の量は材料がひたひたになるくらいがベストです。多すぎるとその分、氷が溶けだしてしまい水っぽい仕上がりになってしまいます。

2.ミキシンググラスにバースプーンを入れ撹拌し、ミキシンググラスが冷えたらストレーナーで水を取り出します。

※この動作は氷についた霜や氷の角をとって水が溶けだす量をできるだけ少なくしています。

3.材料を注ぎ込み、バースプーンで均一に混ざるように撹拌していきます。

※香りや液体の粘度の変化を感じとることによって状態を確かめます。

4.ストレーナーでミキシンググラスに蓋をし、グラスに注いで完成です。

 

ステアはカクテルの三大技法のうちでもっとも難しく、プロでも緊張する技術になります。またビルドの際に単純に混ぜることもステアと呼びますので混同しないように注意してください。

 

詳しくは動画を転載させていただきますのでご覧になられてみてください。

 

 

シェイク

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バーテンダーの花形の仕事と言えばこのシェイクがもっとも思い浮かぶのではないでしょうか?

シェーカーでカクテルを作る動作はもっとも華やかでドラマや映画などの演出にも利用されています。

必要なのは何と言ってもカクテル用のシェーカーです。

【ユキワ】カクテルシェーカー A つや消し 500cc

シェーカーのサイズは360mlや500ml、800mlなどありますが500mlが一般的です。

小さいシェーカーは一杯分のカクテルを作るにはちょうどよいのですが練習にはなりません。反対にカクテルコンテストなどでは5杯分を一度に調合するので非常に大型ものを使用します。しかし、実際の現場で使用されることはほとんどありません。

なのでサイズが異なると安定したシェイクを身につけることができませんので、まずは容量500mlのシェーカーから使用されると練習になると思います。

形状も丸みをおびた一般的なものから、膨らみがなく直線的なもの、ペンギン型、水切りのついていない2ピースで構成されたボストンシェーカーやダンバルシェーカーといったものもありますが、やはり初めて使うのであれば一般的な膨らみのある形のシェーカーをおすすめします。

 

シェイクの振り方

.シェーカーに材料入れ、ボトムの7、8分目ほど氷を詰めこんだたらストレーナー(濾し器)の部分、トップの順番にしっかりとはめ込みます。

※濾し器の部分とトップを同時にはめてしまうと中の空気が冷えた時の気圧差により外れなくなるので気を付けてください。

2.右手の親指でトップを抑えながら左胸の心臓の位置に身体と垂直になるように構えます。

3.手首のスナップを利かせながら押し出すように前に腕を伸ばし、また心臓の位置に戻して今度は下のほうへ押し出します。

※この時に氷がカンカンなるような音がしている場合、氷がシェーカーの底にぶつかってしまっているのでなるべく円を描くような動作を心がけます。

4.シェーカーがよく冷え、材料が混ざったというタイミングでトップを外し、カクテルグラスに注ぎ込みます。

 

これは二段振りと呼ばれるシェーカーの振り方ですが、他にも三次元シェイクや一段の振り方、海外だと縦に振ることもあります。しかし基本のシェイクである二段振りからまずは初めてみましょう。

 

カクテルに重要な技法はビルド・ステア・シェイクの三つです。この動作が行えるようになれば大体のカクテルが作成できるようになりますので練習してみてください。

 

 

他に揃えておきたいバーツール

これまでにご紹介した道具はカクテルを作る時に必須なアイテムですが、ここからは揃えておくと本格的に作れるカクテルの幅が増えるものになります。

 

ガラス製レモン絞り器

ガラス製なので清潔感があり、重量がありますのでレモンやライムを搾る時に安定します。搾り方はガラスの先の尖った部分に半身にしたレモンを押し当て手のひらで体重をかけながら搾り出します。

まわしてしまうと皮に含まれているエグミや苦味が出てきますので決して行わないようにしてください。

 

【ののじ】グレフル種取物語

グレープフルーツを搾れる大型の搾り器です。真ん中が空洞になっており、これらはまわし搾ってもエグミがでない優れモノです。

 

オードブルピン 角棒 ゴールド

ショートカクテルのマティーニやマンハッタンに使用するオリーブやチェリーを刺してグラスに入れる道具です。

おつまみのピンチョスを刺すのにも活躍します。

 

【アデリア】カクテルグラス Sライン

せっかくならカクテルグラスも揃えておきたいところです。

容量は90mlが通常のサイズで、材料60mlに対して氷の解ける分量が10mlの合計70mlを注ぎ込みます。目いっぱいまで注いでしまうとカクテルを零してしまったり、飲むときに顔を近づけなくてはいけないため、あらかじめ空間を持たせてあります。

 

 

 

 

まとめ

以上でカクテルの三大基礎技術と必要な道具についてでした。

普段の生活で使われることのない特殊な道具が多いため、始めのうちは慣れないかもしれませんが、練習を繰り返すうちに必ず使いこなすことができるようになります。

私も何千、何万回と行ってきているので簡単に行っていると思われがちですが、習得にはかなりの時間と回数を要します。練習あるのみですね。

これからバーテンダーになりたい方やバーツールを揃えてみたい方の参考にしてください。

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