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チーズの作り方と聞くと、なにやら専門的な話に聞こえてきますが実際にそう難しい話ではありません。

最近ではレストランなどでも自家製のチーズを製造、提供していたりもしています。また、個人の方が家庭で手づくりチーズを作ったりもされるそうで、チーズ文化はこの日本へと着実に根付いてきているのだと感じいます。

ヨーロッパに比べるとまだまだプロセスチーズの勢力が強い日本ですが、近年では世界的に評価を得られているチーズ工房が出現したり、品評会で受賞するチーズメーカーも増え、ナチュラルチーズの需要も確実に増加傾向にあると言ってもよろしいでしょう。

そこで今回はナチュラルチーズとプロセスチーズの作り方について順序立てて把握していってみようかと思います。

ナチュラルチーズを作る

ナチュラルチーズの製法は大きく分けて原料乳の加工」「チーズの素となるカードの精製」「チーズ成形」「熟成の四つに分類されます。

簡単にフローを説明すると

1・原料となる乳に乳酸菌や酵素を入れて乳を固める。

2・原料乳が凝縮してカードが出来上がるので、さらにカットしてホエーを排出する。

3・取り出したカードを型につめて成形する。⇒ フレッシュチーズ

4・加塩やカビなどを接種させて熟成させる。⇒ 熟成チーズ

基本的にチーズの作り方はこれで問題ありません。もう少し細かく知りたいという方のために詳しく解説していきましょう。

原料乳の加工

まず原料となる乳についてです。

上記では原料乳との記載はあっても牛乳とは表記していませんでした。それは何故かでしょうか?

答えはご存じの通り、原料乳には」「」「ヤギをはじめ、水牛やラクダ、馬などの家畜なども利用されているからです。

では、主要な三つの原料乳の特性から勉強していきましょう。

 

日本人がもっとも親しみのある乳といえば、真っ先に牛乳が挙がります。

牛乳のイメージいえばホルスタイン種が一般的ですが、ヨーロッパのチーズ作りにおいてはブラウンスイス種が一般的です。ちょうどページトップの写真に写っている牛になります。

ブラウンスイス種の場合、産乳量はホルスタイン種にはおよびませんが、乳固形分含量が多く、同量の牛乳からとれるチーズの生産量が高いのが特徴です。

モッツレッラチーズなどを比較していただくとわかるのですが、水牛で造られたモッツレッラに比べると牛のほうが色がやや黄色味がかっており、味が薄いことがわかります。これはニンジンの色素などで有名なカロテンの量が関係しております。

アルプスなどで放牧されたチーズが高値で取り引きされるのは、放牧中の牛が食べる野草などが強く影響しているからです。

羊乳というのは日本では一般的ではありませんが、ヨーロッパの山間部などでは貴重な栄養源として利用されております。

牛と比べると産乳量は少ないのですが、その分、乳固形分含量は非常に高くチーズの生産には適しています。

また、タンパク質や脂肪の粒子が牛と同様に大きいので、同じ製法で作られるという特徴があります。ですから、シェーヴルチーズというカテゴリーは存在しますが、羊のチーズというものは存在しません。

乳脂肪分が牛より多いため、より風味のまろやかなチーズを生産することができます。

ヤギヤギのチーズ・シェーヴルで大型のものはございません。これはタンパク質などの粒子が牛に比べて小さく成形したときに崩れやすいチーズができるからです。かわりにとても消化がよく、ヨーロッパでは離乳食などにも利用されております。

カロテンの量も牛よりも少ないために、真っ白に近いチーズが生産されるので見た目にもわかりやすいのが特徴です。

 

動物の乳を利用している以上、品種による個体差は存在していますが、飼育環境や餌、伝統的製法などにより、ワインと同じようにテロワールという概念が存在しています。その土地の風土にあったチーズというのもここからきているわけなんですね。

 

原料乳の選定が終わったら加工の段階に入ります。

工場生産などのチーズの場合、大規模なものになるので殺菌は欠かせません。これは乳を固形化させる段階で有害な微生物の混入を防ぐといった役割があります。工場へ原料乳を運搬するのに時間がかかってしまうので、雑菌が繁殖し、チーズを台無しにしてしまうからです。

反対に伝統的製法を守るフランスのチーズなどの場合、規模が小さいので、搾りたての無殺菌乳レ・クリュを活用できます。風味の豊かなチーズを生産するために伝統的製法にのっとる必要性がここで生れてくるわけです。

ラベルを確認していただくと、このようなチーズにはレ・クリュといった表記がされているのがご覧いただけることでしょう。

 

殺菌などの処理や乳脂肪分の調整が終わるとスターター乳酸菌を投入します。

乳酸菌を繁殖させることによって雑菌の繁殖を防ぎ、レンネットと呼ばれる凝固酵素の働きを助けます。

カビを利用したチーズの中には、このときに胞子を添加することもあります。

 

これからいよいよチーズの原型であるカードの生産に移っていきます。

カードの精製

レンネットと呼ばれる凝固酵素には4種類あり動物性」「植物性」「微生物」「遺伝子組み換えのうち、そのどれかが使用されます。

動物性レンネット反芻動物の子供の第4胃が主に利用されています。

何故かというと、成熟した動物は乳を栄養素として活用できません。しかし、幼い哺乳類の場合、親の乳を利用して栄養をとっていることが確認されます。これは胃の内部でチーズに似た固形物を作り出し、消化されているからです。

成熟した個体では牧草などから栄養を摂取することが可能なのでチーズ作りには応用されることはありません。

植物性レンネットチョウセンアザミやイチジクなどが代表的なものです。

一部の植物に凝乳作用があることは昔から確認されており、イリアスなどの叙事詩でもとりあげられております。

現在でもポルトガルやスペインなどでは活用されているところもありますが、あまり一般的ではありません。

微生物レンネットこちらはカビを利用しています。

チーズの大量生産に伴い、動物性レンネットでは供給が追いつかなくなりました。そこである種のカビの中に凝乳酵素を生産するものが発見され、これの安定供給によりチーズの大量生産の道を切り開くことが可能になったのです。

遺伝子組み換えレンネットさらに科学技術の進歩した現代では、遺伝子組み換え技術によって微生物に動物性レンネットと同じ酵素を生産させることに成功しました。

GMOと表記されているものをご覧になったことがあるかもしれません。これが遺伝子組み換えレンネットのことです。

現在では、微生物レンネットと遺伝子組み換えレンネットで全体のほとんどの供給をまかなっておりますので、チーズ作りにおいては切っても切り離せない関係と言えます。

このようにレンネットも市販されていますので、独自にチーズを作ってみたいという方は活用されたらおもしろいかもしれません。

 

このレンネットを使用して原料乳を固めていきます。

レンネット以外にも酸や熱によって凝固させるチーズも存在していますが、今回は割愛します。

固まった乳をチーズバットの中でカットしていくと、少しずつ収縮されてホエーが染みだしてきます。ハードチーズなどの場合ですと、この時に撹拌しながら徐々に温度を高めていき、より収縮されたカードを生産されています。

他にもチェダーチーズに欠かせないチェダリングの作業を行ったり、モッツレッラやカチョカヴァッロのような繊維状のチーズは熱湯でパスタを作るときのように練り上げられていきます。

 

ホエーを排出し終わると今度は成形の段階に移行します。

チーズの成形

ここまでで完成したカードをモールドと呼ばれる枠組みにうつして形や大きさを決めていきます。

型によってチーズの完成型が決定してしまいますので重要な工程です。

モールドによっては小さな孔のようなものがあり、ここにホエーと共にカードを流し込むことによって、自重によりソフトタイプのチーズなどの原型が出来上がります。

ブルーチーズですと、この段階でカビの胞子を添加することもあります。

大型のハードチーズではモールドに入る大きさにカードを裁断してから詰めていきます。このときに圧搾機によってさらにホエーを排出し、出来上がりのチーズの水分を調節しているのです。

さらに表面へ塩をふりかけたり、塩水につけることによって加塩します。これは熟成させるチーズに行う作業であり、雑菌の繁殖を防いだり、乳酸菌やカビなどに好ましい環境をつくる目的ももっています。

 

フレッシュチーズの場合はこの段階で完成してしまいますので、次の工程には出てくることはありません。

チーズの熟成

チーズには専門職として熟成士と呼ばれる職業が存在するほど大事な工程です。

熟成は数週間から数年単位で行われ、タンパク質や脂肪をうまみ成分へと変換させるので仕上がりにかなりの影響力を持ちます。

ここで行われる作業で代表的なものは通気」「ウォッシング」「ブラッシングです。

通気新鮮な空気はカビの育成にとってなくてはならないものです。

白カビチーズの場合、包装紙に通気孔が空いていることからもわかるように健全なカビの育成や風味の劣化につながります。

ブルーチーズの場合はアルミ箔などで空気を遮断することによって、うまみ成分を引き出すことが必要になってきます。

新鮮な空気と湿度のバランスは、購入した後のナチュラルチーズの保存の際にも考えなければいけない問題です。

ウォッシングウォッシュタイプのチーズ特有の作業で、塩水やワインなどでチーズの表面を洗いリネンス菌を繁殖させることを目的としています。

ウォッシュチーズの独特のカラーや匂いはこのときに生まれたものです。リネンス菌によってタンパク質や脂肪を分解することによりうまみ成分を引きだしていきます。

ブラッシング大型のチーズでよくみられるこちらの光景は、チーズの表面をブラッシングすることによって外皮を形成し、熟成中に有害な雑菌などの繁殖を防ぐ目的で行われております。

 

チーズのタイプは多岐に渡り、また、そのそれぞれに独特の製法がありますので一般的なチーズの作り方については以上となります。

ここからは最後に、プロセスチーズへとどのように加工されていくのかを見ていきたいと思います。

 

プロセスチーズへの加工

プロセスチーズの生産方法ですが、こちらはナチュラルチーズを材料としております。

まず、原材料であるナチュラルチーズを一種類以上裁断して加熱殺菌していきます。このとき使用されるナチュラルチーズは上記したものとは異なり専用のものが生産されるのが一般的です。複数のナチュラルチーズをブレンドすることによって出来上がりの風味を調整していきます。

チーズの融解時には乳化剤が用いられます。乳化剤にはリン酸やクエン酸溶液が使用され、これは熱で融解されるだけではタンパク質は分解できず、乳化剤を導入することによって均一な状態を作り出しているからです。この乳化剤を使用するという部分がプロセスチーズとナチュラルチーズを分ける最大の焦点になってきます。

溶かされたチーズはそのままフィルムに包まれて成形されます。

スライスチーズなどはこの段階でローラーにより圧縮されて、薄いよく見かける形状へと成形されています。

この包装されたチーズを冷却することにより、プロセスチーズの工程は完了するというわけです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

普段私たちの食卓へならぶチーズはこのように生産されております。

日本の食品衛生法の乳等省令によりましても、乳化剤の使用の有無がプロセスチーズとナチュラルチーズを隔てる区分けとなっておりますので、この辺りのポイントを抑えていただければよろしいかと思います。
チーズについて | 流しのバーテンダー

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